今回のお題は「オーバーシュート」です。
英単語的には何となく想像できる並びではありますが・・・
逆に聞きなれた単語同士がくっついてもハッキリとした意味がわからないのがもどかしい…笑
さっそく正確な意味を調べてゆきましょう!
オーバーシュートの意味とは?
オーバーシュート (overshoot:英)
[名](スル)
行き過ぎたり、度を越したりすること。為替相場についていうことが多い。引用元: デジタル大辞泉 より
相場の行き過ぎた変動のこと。
引用元: FX用語集 より
英語のovershoot(オーバーシュート)が語源の言葉で
- 〔目標を〕通り越す
- 〔飛行機などが〕行き過ぎる
I overshot the store.
(その店を通り越してしまった)
The airplane overshot(or overrun) the runway.
(その飛行機は滑走路を行き過ぎた)
などのように英文の中で使われています。
対して現代日本社会で使われている「オーバーシュート」は主に
- 有価証券の価格の行き過ぎた変動
- (感染症等の流行の変動)爆発的感染拡大、患者の急増
のことを意味します。
主に1.為替用語で使われることが多く、その時の経済状況にもとづき分析予想される「適正な基準価格」から大きく”かけ離れた”時に『オーバーシュート』という言葉が使われます。
2.は疫学の分野で使われるワードで「(予想値のラインを超える)爆発的な感染拡大、患者の急増」を意味します。
コロナウィルス感染拡大時に使われたワード
2019-2020年にかけて流行中のCOVID-19(新型コロナウィルス)の日本国内での感染状況
について、政府の専門家会議でこのワードが使われました。
孤発例(こはつれい)とは?
⇒ときどき(感染患者が)発生する事例。
先日の患者クラスター、スーパースプレッダーと、感染症関連の用語はあまり耳にしないワードも多く出てきますね。
「クラスター」の記事はコチラ↓
【cluster(クラスタ)とは?患者クラスターの意味やオタクとの違いも】
オーバーシュートの使い方と使用例
例) 為替相場がオーバーシュートしているが年度末明けの来週には戻る予想です。
このオーバーシュートは⇒「株価の行き過ぎた変動」という意味です。
例) 感染者のトレースが出来ていない現在、いつオーバーシュートが起こっても不思議ではない。
この場合のオーバーシュートは「爆発的な感染拡大、患者の急増」という意味です。
オーバーシュートの類語は?
疫学用語でのオーバーシュートは「爆発的拡大」「患者の急増」という意味ですが、感染症の流行の際によく見聞きするワードに「アウトブレイク」「パンデミック」などがあります。
また「パンデミック」の定義には「エンデミック」「エピデミック」も関連してきますので、それらの意味も見てゆきましょう。
アウトブレイク(outbreak:英語)
「悪疫(たちの悪い流行病)・感染症の突発的発生」のこと。
日本語では「感染爆発」「感染症集団発生」とも訳されます。
英語のoutbreakの語源は「突発的に発生する」という意味で対象は感染症等だけではなく「戦争」「虫(イナゴ・バッタ等)」また「怒り」など突然に湧き起こる様子をあらわします。
このワードが疫学用語として使われる場合には
- 一定の期間内(time)
- 特定の地域(place)
- 特定の人間集団(person)
で予想されるより多くの感染症患者が突発的に発生することを意味します。
映画「outbreakアウトブレイク」
1995年に公開されたこの映画は致死率の非常に高いウイルスが引き起こす「バイオハザード(微生物災害)」と戦う人々を描いた物語です。
エンデミック(Endemic:英語)⇒「地域流行」
「ある感染症が一定の地域で緩やかに広がり、季節的周期で繰り返される状況」のこと。
感染症が狭い範囲で比較的緩やかに広がり、予測の範囲を超えない状態のことを言います。
それが「特定の地域に限定される」場合は”Endemic disease=風土病”と呼ばれます。
エピデミック(Epidemic:英語)⇒「流行」
「ある感染症が一定の地域や集団において通常の予測を超えて大量に発生すること」
いわゆるインフルエンザなどの感染症が特定の地域で流行することを指します。
前出のエンデミックよりも規模が大きくなり、広範囲の集団で発生する状況です。
この流行の中で突発的に規模が拡大して集団で発生することを「アウトブレイク」と呼びます。
パンデミック(Pandemic:英語)⇒「汎発流行」
「感染症が世界的規模で同時に大流行すること」または世界的に流行する感染症のことを意味します。
日本語訳では「世界的流行」「汎用性流行」「感染爆発」とも呼ばれます。
語源はPan(すべて) + demia(人々)を意味するギリシャ語。
流行規模の大きさの比較
パンデミック警戒フェーズとは?
WHO(世界保健機構)が定める新型インフルエンザに対する警戒指標は『パンデミック警戒フェーズ』と呼ばれ、6段階に分かれています。
2019年末から流行し始めた新型コロナウィルス(COVID=19)は2020年3月11日世界保健機構(WHO)により「パンデミック・フェーズ(フェーズ6)に入った」と言及され2009年の新型インフルエンザ以来の宣言となりました。
フェーズとは?
⇒変化する過程の一区切り
↓フェーズをもっと詳しく「フェーズ6段階」についても解説しています↓
【phase(フェーズ)の意味とは?ステップやプロセスとの違いもわかりやすく解説】
オーバーシュートとアウトブレイク、パンデミックの違いは?
前項の類語で解説したとおり「オーバーシュート」「アウトブレイク」「パンデミック」は疫学用語として使われています。
それぞれ「ある感染症が爆発的に感染拡大すること」という意味では類似していますが、どこが違うのでしょうか?
(ある感染症などの)爆発的拡大、患者の急増
ある感染症が一定の地域の集団で突発的に発生すること。
ある感染症が一定の地域に止まらず世界的に大流行すること。
まとめ
オーバーシュートの意味とは?
- 有価証券の価格の行き過ぎた変動
- (感染症等の流行の変動)爆発的拡大、患者の急増
株やFXを手がける方にはお馴染みのワードかもしれませんが、すっかり門外漢の言葉でした。
- 為替の分野でのオーバーシュートは
- 感染症など疫学の分野のオーバーシュートは
「行き過ぎた株価の変動」
「(ある感染症が予測値を超えた)爆発的拡大を起こすこと」
と覚えておきましょう。
今回の記事も、皆様のお役に立てましたら幸いです。
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