今回は「アレロパシー」というワードについての記事です。
そんなに頻繁に見聞きする言葉ではないかもしれませんが、植物学、農業学または家庭菜園やガーデニングの分野でも使われます。
今回はこのアレロパシー(allelopathy)の意味と使い方、使用例もわかりやすく解説してゆきます。
アレロパシー(allelopathy)とは?
【 allelopathy 】
植物の生産する物質が他の個体あるいは他の生物に及ぼす作用。
セイタカアワダチソウやヒメジョオンが阻害物質を出して周囲の植物を駆逐したりするのが代表的な例。遷移を引き起こす要因の1つと考えられている。高等植物がフィトンチッドと呼ばれる物質を出して微生物の生育を防ぐことや、ジャガイモなどの忌地(いやち)もアレロパシーの例とみることができる。阻害物質は主としてテルペン類からなる。
>参考引用:知恵蔵より
アレロパシーはギリシャ語のallelo(お互いの)とpathos(影響を受ける)からなる造語です。
ある植物が分泌する化学物質(アレロケミカル)が他の植物や生物に対して、有害な影響を与える現象のことを指します。
これは植物が自らの生存や成長を促進するために、周囲の競合相手を排除するための「防衛システム」と考えられています。
アレロパシーが見られる具体例
アレロパシーは「植物が周囲の他植物と競争するための生存戦略」として機能しています。多くの場合は、他の植物や生物の生長を阻害・抑制したり、枯れ死させるなどの影響も。アレロパシーの関係にある生態系の具体例を見てみましょう。
- ソバは、根からソバノールという化学物質を分泌し、他の植物の成長を抑制する作用があります。
- ヨモギは、葉からクマリンという化学物質を分泌し、病原菌や害虫を駆除する作用があります。
- クローバーは、その根に含まれる物質によって他の植物を抑制することができます。
アレロパシーのメリットとデメリット
アレロパシー(他感作用)には、メリットとデメリットがあります。
- 自然な方法で他の生物に影響を与えることができる
- 農薬や化学肥料の使用量を減らすことができる
- 環境にやさしい方法である
- アレロケミカルの種類によっては、人間や動物に有害性ある場合がある(花粉症など)
- アレロパシーの作用は、植物の種類や環境によって異なる
アレロパシーの将来性
すでにアレロパシーは、農業や園芸、林業、環境保護などの分野で利用されています。昨今、世界的にも取り組みが推奨されているSDGs(持続可能な社会)の実現に貢献することが期待され、研究されてゆく分野です。
アレロパシーの類語
アレロパシーは「植物や生物が分泌する化学物質(アレロケミカル)によって他の植物の生長を抑制する現象」のことを指します。
「植物や生物が他へ何らかの影響を及ぼす」という意味を持つ言葉としては、以下のような類語があげられます。
- アンチバイオティクス:微生物が分泌する有害物質によって他の微生物を抑制する現象(抗生物質)
- コンパニオンプランツ:一緒に植えると相性の良い植物(共存作物)
アレロパシーの意味とは?まとめ
今回は「アレロパシーallelopathy」について解説しました。
アレロパシーは「ある植物が分泌する化学物質(アレロケミカル)が他の植物や生物に対して有害な影響を与える現象」のことです。日本語では他感作用とも訳されています。
世界が目指す「持続可能な社会」においても有効に使われてゆく将来性の高い作用ですね!ぜひ、覚えておいてくださいね♪