「ロコモ」というワード、聞いたことはありますか?
正確にはロコモティブシンドロームを略して「ロコモ」と呼んでいます。
最近では健康番組や高齢者・介護問題の記事、そして各自治体のサイトなどで目にすることもあるかもしれません。
今回はこのロコモをピックアップして解説してゆきましょう。
ロコモティブシンドロームとは?
骨・関節・筋肉など体を支えたり動かしたりする運動器の機能が低下し、要介護や寝たきりになる危険が高い状態。国の介護予防・健康対策などの方針を受けて、日本整形外科学会が平成19年(2007)に提唱。自己診断法のロコチェックや、予防運動のロコモーショントレーニング(ロコトレ)の実践を呼びかけている。運動器症候群。ロコモ。ロコモティブ症候群。
[補説]運動器のことを英語でlocomotive organということからの名。
>デジタル大辞泉より
ロコモは英語のlocomotiveからくるワードで語源はラテン語の「locō (場所から)」+後期ラテン語 motivus (動ける)」となります。
正式名称のロコモティブシンドロームは直訳すると「運動器障害症候群(うんどうきしょうがいしょうこうぐん)」
英語で移動するための能力があることを意味する「ロコモティブ(locomotive)」と病的現象をあらわす「シンドローム(syndrome)」で作られた造語です。
のことを意味します。
一般的には略称で「ロコモ」と呼ばれています。
運動器とは?
日常の生活で動くために使う部位、すなわち人が立つ、歩く、作業するための必要な身体の仕組み全体を運動器といいます。
- 骨(運動器の主躯体)
- 関節(骨を繋ぎ可動させる)
- 筋肉(骨・関節の保護。伸縮によるそれらの可動)
- 神経(脳からの指令を運動器へ伝える)
これらの組織に何らかの障害があり、立ったり歩いたりするための身体能力(移動機能)が低下した状態をロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)と呼びます。
ロコチェックとは
前項で説明したように私達の身体は運動器(骨、関節、筋肉、神経)がそれぞれ上手く連携し身体を動かしてくれています。
逆に言うとどれか1つが悪くなった場合、私達の身体はスムーズの動けなくなる可能性があります。
ロコチェック7項目
「もしかして自分はロコモ?」
「いやいや…まだまだ自分に限ってそんなことは」
「お父さん、そろそろ独り歩きが危なっかしいな」
などと思ってココまで辿り着いた皆さん!
ロコモかどうか?を判断できる「ロコチェック」というのがあります。
次の7点はいずれも「骨・関節・筋肉」に関する衰えを判断する項目です。
- 片足立ちで靴下をはけない
- 家の中でつまずいたり、足を滑らせたりすることがよくある
- 手すりなしで階段を上るのがつらい
- 布団の上げ下ろしなど、重いものを持つ家事がつらい
- 2キログラム程度(牛乳1リットルパック2本分)の買い物袋を持って歩くのがつらい
- 15分以上歩き続けることができない
- 横断歩道を青信号の間に渡りきれない
いかがでしたか?
実は上記7項目の中で1つでも当てはまったら要注意!
え?2番とか4番とか・・・
なんて方は今からぜひロコモ防止トレーニングを始めて運動器の衰えを防ぎましょう!
他にも「立ち上がりテスト」や「2ステップテスト」で自分のロコモ度を判定することもできます。
日本整形外科学会のサイト「ロコモOnline」などでチェックしてみましょう。
サルコペニアとフレイルとの違い
ロコモについて調べていると類似の意味合いで「サルコペニア」や「フレイル」という言葉を見かけるようになりました。
混同しやすいこれらのワードもこちらで解説してゆきます。
サルコペニア
サルコペニアとは
「加齢に伴って生じる骨格筋量と骨格筋力の低下」と定義されています。
- 加齢による筋肉量の減少
- 65歳以上
- 歩行速度低下(秒速0.8m以下)
- 握力低下(男性26kg、女性18kg未満)
- 筋量低下
歩行速度の目安
一般には歩行速度が目安になります。
若年男性の平均歩行速度は1.5~1.6m/秒で0.8m/秒以下になると身体能力の低下と考えられます。
横断歩道は1m/秒の速度で渡りきれるように設計されているので横断歩道を一信号で渡りきれなくなるようなら要注意となります。
フレイル
フレイルの定義は「加齢に伴い身体の予備能力が低下し、健康障害を起こしやすくなった状態」いわゆる虚弱(きょじゃく)です。
フレイルの語源は海外の老年医学の分野で使用されている英語の「Frailtyフレイルティ(虚弱)」からきています。
- 虚弱
- 体重減少(6か月で2~3kg以上)
- 倦怠感
- 活動量低下
- 握力低下(男性26kg、女性18kg未満)
- 歩行速度低下(秒速1m未満)
厚生労働省研究班の報告書によるフレイルは下記のように定義されています。
加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態
ロコモとサルコペニア・フレイルの違いは?
では今まで解説してきた「ロコモ」「サルコペニア」「フレイル」の違いは何でしょう?
ロコモ
運動器の障害で移動機能が低下する状態
骨・関節・筋肉・神経などの障害により思うように動けなくなる状態
サルコペニア
加齢に伴って生じる骨格筋量と骨格筋力の低下
65歳以上の人が加齢が原因で筋肉の量が減ったり筋力が弱くなる状態
⇒ロコモになる原因のひとつ
フレイル
加齢に伴い心身の活力(運動機能・認知機能)が低下し健康障害を起こしやすくなった虚弱状態
高齢者が加齢により身体の機能が思うように動かせなくなったり、認知機能が低下するなど様々な要因で精神的にも弱くなり生きる活力を失ってゆく状態
⇒ロコモ・サルコペニアが発生する背景でもあり、逆にロコモ・サルコペニアがフレイルの原因となる場合も。
まとめ
ロコモの意味は?
運動器(骨・関節・筋肉・神経)の障害で立ったり歩いたりするための身体能力(移動機能)が低下した状態のこと。
ロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)
今回は「ロコモ」について解説しました。
世界的に高齢化社会に突入し、日本での平均寿命はトップクラス。
しかしながら全ての老人が「健康に動けるまま歳を重ねる」訳ではないのが現状です。
健康に楽しく長い人生を暮らしてゆくために30代~40代からでも「ロコモ対策」をしておきましょう!
もちろん50代以降でも遅くはありませんよ♪
今回の記事も、皆様のお役に立てましたら…嬉しいです♪